テレビ朝日『ワイドスクランブル』で、
脱原発の話題をやっていて、
青山繁晴氏が
極端な脱原発は現実的ではない、
みたいなことを言っていました。
よしりん先生が批判した、
「この問題に『中庸』があると考える
日本人の不徹底さがある限り、
必ず3.11以前に戻っていく」
という意見、そのものです。
しかも、青山氏の言う根拠が、
いちいちおかしい。
第一に、危険なのは
アメリカから直輸入した
「マーク1」型の原子炉であり、
新型の原子炉の安全性は、
それよりずっと向上しているといいます。
だがそれは、あくまでも
「設計上の話」です。
元・福島第一原発主任作業員
淺川凌氏の著書によれば、
ハイレベルの設計技術者が設計しても、
作っているのは「素人」だといいます。
原発のプラントは工場で作られ、
現場に運び込んで組み立てるのですが、
まず工場の時点で設計と違う
「不良品」ができてくる。
しかし作り直すとコストがかさむから、
現場で素人の作業員が
むりやりつないでしまう。
そんな、設計者が見れば
「まさか」と思うようなことが、
普通に行われているそうです。
新型の原子炉の安全性は
向上しているというのは、まさに
「机上の空論」です。
第二に青山氏は、
「廃炉の技術のために、
原発を残しておかなければならない」
といいます。
これもおかしな話です。
原発を動かしていれば、
自然に廃炉の技術が育つ
なんてことはありません。
原発を動かすことと、
廃炉の技術研究は、
全く別の話です。
廃炉技術はまだ世界でも
確立しているとは言い難く、
今後、廃炉の研究開発をする
技術者が必要になるのです。
これから、そういう専門の人材を
計画的に育てなければならないのであり、
これは、原発さえ動かしていれば
出てくるなんてものではありません。
第三に青山氏は、
「中国、北朝鮮の核の脅威に対し、
日本も潜在的に核武装できる能力を
持っておかなければならない」
と主張しました。
これも同じ話で、
原発を動かしていれば、
自然に核武装できる
なんてことはありません。
核武装するなら、はっきり国家として
その意思を固めて核開発するしかなく、
原発の有無は全く関係ありません。
現に、北朝鮮は原発がないのに
核開発しているのですから。
以上のようなことは8月末発売
『脱原発論』で
誰にでもわかる決定版として
改めて描きます。
ところで、青山氏は9年前の
『わしズム』Vol.7では、
日本の核武装について
「生きている限り、信念をかけて反対します」
「日本の核保有は、核抑止による安定どころか、
未曾有の核不安定時代をもたらす」
と断言していたのですが、
その「信念」はどこに行ったのでしょうか?
原発を守るために、
核武装絶対反対の
信念まで曲げるとは、
信念まで曲げるとは、
本末転倒も甚だしいですね。